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クラシックロックドリルの世界
第12回 ASD22 ハンド/レッグドリル

ASD22(1955年:昭和30年3月発売開始)、22D(1957年:昭和32年4月販売開始)

22D
22D
22D
22D


 ASD22は古河初の全自動バルブを搭載し、ハンドドリルとレッグドリルを兼用した最後のさく岩機となります。
また商品名にASDが付いた最後の機種にもなります。

古河のさく岩機の機種名は第一号機ASD11の販売開始(1916年)から1956年(昭和31年)までは「ASD+2桁の数字」となっていました。
 ①先頭の「ASD」はASIO-SIKI-DRILLの略となります。(明治から戦後しばらくの間、足尾の英字表記は現在のASHIOでは無くASIOでした)
 ②2桁の数字のうち、初めの1桁の数字は機種を示しています。
  即ち1は小型ハンドハンマー、2は中型以上のハンドハンマー、3はドリフター、4はストーパーとなります。
 ③二桁目の数字は開発順序の目安程度と大した意味は有りませんでした。
従ってASD11は足尾式小型ハンマー、ASD41は足尾式ストーパーという意味しか有りませんでした。
 一方、さく岩機の改良・高性能化が進み、手持ちさく岩機が大型さく岩機(ドリフタ)に代わって広く使用されるようになると、海外メーカはさく岩機の大きさの目安として重量ポンドを機種名とするようになりました。(1930年代)
 例:インガソールランドR39(機体重量39ポンド:18kg)、S49(機体重量49ポンド:22kg)、デンバーS55(機体重量55ポンド:25kg)
海外メーカの重量ポンド表示が機種名として一般化してくると今度は古河さく岩機の形式名がさく岩機重量と誤解されるようになり、古河製さく岩機は重量の割に性能が低いと誤解されるようになってしまいました。
 例:ASD18:実際は13kgなのに18kgと誤解、
   ASD25:実際は19kgなのに25kgと誤解 更にASD26が重量約26kgであったことも混乱に輪をかけました。
細かい経緯は不明ですが、本来ならばASD27以降の番号となるはずの新型機がASD22として機体重量が製品名となったのはこのような背景がありました。

 ASD22は古河初の全自動バルブを組み込んだ新鋭さく岩機として発売されました。
更にASD22は、下記などの新機構も組み込まれていました。
 ①ロッド回転用の4個のローテーションポールの押し出しを消耗の多いスプリング式から空気押し出し式に変更して回転力と耐久性を高めた。
 ②繰粉排出用の水を吐出するウォーターチューブを空気チューブで包み込むダブルチューブ構造にすることでさく岩機内にブローウォーターが浸入する事を防いだ。
ハンドドリルとして使用のASD22
ハンドドリルとして使用のASD22
レッグドリルとして使用のasd22
レッグドリルとして使用のASD22
FL3 エアーレッグ
FL3 エアーレッグ


古河
形式 ASD22
重量 22 kg
シリンダ内径 70 mm
ピストンストローク 70 mm
バルブ形式 全自動バルブ
AUTOMATIC VALVE
バルブ形状 チューブ+フランジ型
打撃数 2000回/分



 またASD22を含めてそれまでのさく岩機は、下向き(シンカードリル)と横向き(レッグドリル)共用のためシリンダにレッグ連結用のダボが付いていましたが、ASD22と同時に開発された新型FL3レッグは他社の排気コントロール式のレッグ(東洋工業X200型エアサポータ等)と違い、入気圧力を制御することで安全かつ容易にレッグの伸縮と押し付け力をコントロールすることができる新機構が組み込まれていました。
 ASD22とFL3レッグの組合せは横向きせん孔を容易に行えましたので発売と同時にASD22は年間1000台余りを販売するベストセラーになりました。  ASD22とFL3レッグの組合せはドリフタによるさく孔のようにスタンドを建てるなどの附帯作業が殆ど無く、さく岩機1台に二人、三人かかって作業する必要が無い事からドリフタによるせん孔が急速に置き換っていきました。
 そこで1956年(昭和31年)には更に操作性・作業性を向上させるため、ASD22はレッグドリルとシンカードリルの兼用を止め。先ずレッグ専用機322Dが1956年に開発され、次いで322Dからレッグ機構を省略した下向きさく孔専用22Dが開発されました。

 同時に混乱した機種命名を整理するため規則が見直され、命名法は3桁の数字で機械の種類と大きさが分かるように改められました。
112D、217D、312D、317D、322D、524Dなどがこれにあたります。
この方式では最初の1桁が機械の種類を示し、1がハンドドリル、2がシンカードリル、3がレッグドリル、5がストーパとなっており、次の2桁の数字は機械本体の重量を示しています。最後のDはさく岩機を表します。
 従って112Dは重量12kgのハンドドリル、312Dは重量12kgのレッグドリルで同一部品を使用する同一性能のさく岩機であることが分かります。同様に217Dと317Dも用途が違う同一性能のさく岩機で有る事がわかります。
新しい命名法は昭和31年以降販売されたさく岩機に適用されました。
しかしなぜかASD22のシンカードリルは222Dと命名されずに22Dと命名されました。

22Dの外観
22Dの外観
22Dの下向き穿孔
22Dによる下向き(シンカー)穿孔

引用 エアサポータ―の上手な使い方(東洋工業株式会社)


次回は、322Dを予定しています。