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クラシックロックドリルの世界
第1回 ASD11

1916年販売 重量:6.4Kg
ASD11
ASD11

小型軽量なさく岩機として明治末に足尾銅山ではドイツフロットマン式GAエアハンマを採用しましたが、それでもまだ日本人には形体、重量が過大でした。
そこで銅山工作課機械方の川原崎道之助氏によってフロットマン式を参考に1914年(大正3年)足尾式さく岩機が開発されました。足尾式さく岩機の特徴はバルブをフロットマン式の鋼球からそろばん玉形にしたことで低圧でも軽快に作動するようにした点にあります。
三番型さく岩機は足尾銅山坑内で使用され改良されました。1916年(大正5年)にはさく岩機製造工場も作られ改良型三番型さく岩機は商品名ASD11として外販されました。ASD11は非常に軽量小型で能力は手掘りの5倍と言われました。

フロットマンGA型さく岩機 三番型さく岩機 ASD11
重量 11.4Kg 4.2Kg 6.4Kg
シリンダ内径 59㎜ 38㎜ 41㎜
ピストンストローク 29㎜ 38㎜ 38㎜
バルブ形式 反動バルブ
REACTION VALVE
反動バルブ
REACTION VALVE
反動バルブ
REACTION VALVE
バルブ形状 ボール型 そろばん玉型 そろばん玉型
掘進速度 - 20ミリ/分(穴径29ミリ)
岩質:花崗岩
50ミリ/分(穴径29ミリ)
岩質:花崗岩
ボール型バルブ
ボール型バルブ(カットモデル) 鋼球が左右に動いて空気の通路を切り替える
ASD11の設計図
ASD11の設計図
中心のそろばん玉型バルブが左右に動いて空気の通路を切り替える
バルブ重量は同じ径の鋼球の半分以下


国産第一号さく岩機設計者川原﨑道之助氏
写真右端が川原崎氏(写真提供:古河足尾歴史館)
写真右端が川原﨑氏(写真提供:古河足尾歴史館)

1886年(明治19年)4月 栃木県下都賀郡野木村に生まれる。
工手学校(現 工学院大学)機械学科を1907年(明治40年)7月に卒業(第36回卒業生)し古河鉱業に入社。
1914年(大正3年)足尾式参番型さく岩機を考案し、社長古河虎之助から報奨金200円を頂く。
1931年(昭和6年)古河好間炭鉱に移る。1947年(昭和22年)古河鉱業退職。


ASD11 動作の様子


次回はASD20(1920年頃)を紹介予定です。